ねこ絵本とは思えないタイトル。
そして廊下からひょっこりと顔をだして、こちらを見上げてくる可愛らしい黒猫ちゃんとのギャップに惹かれて手に取ったねこ絵本です。
魅力的な絵とトントンと読み進めていけるテンポの良い文。
見開きいっぱいに描かれている、ネコちゃんのくりくりした瞳や一生懸命に爪研ぎしている小さな背中が私のお気に入りです。
そして短い文でキレイにまとめられているのに、ネコとお父さんの関係やそれぞれの気持ちがとってもよく伝わってきます。
目で楽しんで、こころで感じる絵本ですね。
私はネコが嫌いだ。
『私はネコが嫌いだ。』
作・絵 よこただいすけ
ある日、娘が小さな黒い子猫を拾ってきた。
「お父さん、このネコ飼ってもいい?」
全身真っ黒で、縁起が悪いネコだ。
お父さんである『私』は猛反対しますが、結局は娘の熱意に負け、子猫を家族として迎えることに。
ちょっとふてくされた様子のお父さんの表情、可愛らしいです。
ネコが嫌いな理由を語っていく、私。
お父さんはネコが嫌い。
いつまでたってもトイレは覚えない。
お腹が減れば夜中だろうと騒ぎ出す。
ソファで爪をといでボロボロにする。
私はネコが嫌いだ。
でも、そんなお父さんの傍にはいつもいつもネコがいる。
そうしてネコは、年を取っていく。
治療と通院の日々。
容体があまりよくないのか、お父さんは仕事も手につかない様子。
白紙のままの紙と万年筆が転がったままの仕事机と、にらめっこ。
不器用な愛情を感じられる絵本
ネコはお父さんのことが大好きで。
お父さんも最後まで口には出さなかったけれど、ネコのことが大好きなのが絵本から伝わってきます。
口下手で、不器用で、ちっとも素直じゃない。
でも、愛情深いお父さん。
ネコにはちゃんと、伝わっていたよ。
ネコはいまでも、お父さんの傍にいる。
仕事机の上。写真の中から、いつも『私』を見上げている。
ニャーニャー。
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